読む時間:およそ3分
落語の小道具、なくてはならないものといえば、「マンダラ」と「カゼ」ですね。
え?なにそれ?
寄席の楽屋で「手ぬぐい」、そして「扇子」を表す隠語です。
「着物&座布団編」に引き続き、今回はその二つの小道具について話をします。
扇子(仏語で「éventail」(エヴァンターユ)
扇子は、アジアをはじめ、たくさんの外国に古代から普及されているようです。
基本的な役割は風を送ることですが、告知の道具やファッションのアクセサリーまたは芸能における持ち物として使われていました。
扇子の文化がある外国が多いため、海外公演の時は扇子を使う事に対して、
お客様が驚くことはあんまりしません。自分も日本に遊びに来た時に扇子を
買ったことがある人も多い。
でも、落語の扇子と浅草で買うお土産は違うものです。
落語の扇子は落語芸術協会曰く、箸になったり煙管になったり、舟を漕ぐ棹や櫓、魚釣竿や刀、槍などは目線を使い長さを表現するのです。「高座扇子」と
いいます。 海外のお客様が一つの驚きといえば、落語の扇子が白いことです。
なんだ?!デコレーションがないのか?!
そもそも見立て道具ですので、開くと時は目に入るデコレーションが
ありましたら気が散るよと、説明すれば納得はしていただけますけど。
僕が驚くのは江戸落語と上方落語の扇子が大きさ違うことです。
上方落語の方が大げさでエクセントリックな部分が多いですが、やっぱり扇子
まで違いを強調しているなといつも思います、、、
手ぬぐい(仏語で「carré de tissu」(カレ・ドォ・ティッシュ)
手ぬぐいに関しては、外国語にもそのものに当たる言葉がありません。
一番近い直訳は「タオル」でしょうか。
海外ではお土産として渡したら、手ぬぐいを広げ、自宅の壁に貼る人が多いですが、噺家には「名刺代わり」の意味もあります。名入りの手ぬぐいは二つ目に上がってからです。
噺家の扇子は白と決まっていますが、手ぬぐいは柄を入れてよし。
また、その柄は決まりはなし。自分の師匠と同じ柄を使う人もいれば、動物や
植物、似顔絵などを使う人もいます。
さて、手ぬぐいのお見立ては、どんなのがあるでしょう。
一番よく見かけるのは「財布」または「紙入れ」ですが、左手に乗せて右手で
めくる「本」にもなります。他によく出てくるのは、煙草入れやとっくりですが、手ぬぐいを見立てに使うことは扇子より少ないです。やはり、タオルですので、汗拭きとして使われることは通常でしょう。演目の登場人物に合わせて自然に汗をふく噺家さん。それは腕の見せ所ですね。
*手ぬぐい情報は「昭和元禄落語心中4」より。
現在、フランス語に翻訳中です。第1巻は8月に出版決定!