Cyril COPPINI

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落語散策

「昭和元禄落語心中」仏語版レビュー

読む時間:およそ3分

先月、「昭和元禄落語心中」のフランス語版が出版されましたが、すでにいくつかのナイスレビューがネットで公開されています。ありがたい話です。
今回、そのレビュー(フランス語)のリンクと第1巻の後書の訳文を紹介しましょう。ちなみに、第2巻は10月に出版決定!

Manga-news.com

Comixtrip.fr

Nautiljon.com

Manga-sanctuary.com

Fondation franco-japonaise Sasakawa

翻訳家の後書―第1巻(訳文)

90年代頭にフランス国立東洋言語文化研究所(INALCO)で日本語を勉強していましたが、その時、落語と出会いました。当時は、ネットもないし、フランス語の資料もほとんどゼロでした。そして、95年〜96年まで日本に留学をした時に、テレビを通して落語のことをもっと知りました。
しかし、寄席で「生」の落語をはじめて聞いたのは、東京を拠点にした2001年の時。そして、自分が高座に上がるまではさらに10年かかりました。

言葉の壁があるため、落語を海外に輸出できないと長い間に思いました。
言葉遊びも多いですが、落語のレパトリーでは200年以上の文化が表現されていますので、余計に伝えにくいのではと。日本の上下関係や登場人物の社会的な役割をどうやって説明できるのかなどの悩みが多かったです。
しかし、幸いなことで、フランス語も繊細で細かい言語でもありますので、色々表現できることになりました。

原作は2012年に日本に出版されましたが、およそ10年後の今、フランス語版を出すのはどうしてでしょう?

それは自分が日本に住むのは長いので、漫画に出てくるネタを今だから理解できることです。もっと若い年で、この漫画を翻訳したとすればたくさんのニュアンスを見逃したことがあるでしょう。
また、落語は年と共によくなるでしょう。同じネタを20歳の時と50歳の時に演じても味が全然違いますね。演者の「人生の経験」(ハッピーな経験も不幸な経験も)によって演じ方が変わってきます。だから、前座にやってはいけないネタもあれば、真打しかできない噺もあるでしょう。
同じように、この漫画を10年前に翻訳しただとしたら、結果は薄かったかもしれません。

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