ウサギを見てリアクションが違う日本人とフランス人。
日本人が「かわいーーーー!」という。
フランス人が「おいしそう!」という。
あけましておめでとうございます。
今年は卯年です。落語ではウサギが登場する演目はないと思いますが、本年度の一発目「落語散策」では、「落語の動物たち」の続編として「イヌ」について話をしたいと思います。
落語で「イヌ」といえば、「元犬」というネタは有名です。
文化時代(1804年~1818年)に出版された「落噺桂の花」に収録されているようです。
人間になったイヌは万国共通のテーマ(?)ということで、「元犬」をフランス語や英語でも演じることがありますが、オチはさすがに無理ですので、工夫しないといけないわけです。日本語のオチも結構難しいので(話の途中に登場する女中のお元さんと古典日本語の否定形「いない→いぬ」とかけた言葉遊びに基づくオチ)日本語で演じた時にも違うオチにしますが(詳しくは高座まで!)、フランス語や英語のバージョンでも全然違うオチになります。
外国語でも「犬」を中心とした言い回しやコトワザがありますので、調整はやりやすいです。
英語はビートルズの曲「ハード・デイズ・ナイト」では、「It’s been a hard day’s night and I’ve been working like a dog」という歌詞があります。Working like a dog(直訳でいうと、「犬のように仕事する」)ですが、人間に憧れて人間になりたい主人公の犬「シロ」は人間になったらたくさん仕事をして、あんまり遊ぶことができないとわかった時点、「せっかく人間になったので、犬のように仕事をするなら、意味がねー!八幡様にもうもう一度お祈りをして、犬に戻ります!」というようなオチ。
フランス語で最悪の人生は「犬の人生」Une vie de chienという。英語と同じ下りで、結局、人間になってそんなに楽しいことはないと気づくシロが「もう、犬の人生の方がよっぽどマシだ!」というオチにします。
「元犬」は本当によくできたネタです。
あと、人間の社会に溶け込もうとする犬は大変な経験をしますが、それは隠れテーマというか、「社会統合」というテーマにも見えてくるのでは?
今時の社会問題にもつながる19世紀に作成された落語のネタ。
我々現代人を考えさせる落語。素晴らしいですね!